1945年に日本は敗戦し、その後60年代~70年代にかけて高度経済成長とよばれる成長期を迎えますが、その背景には日本的雇用慣行と呼ばれる日本独自の雇用システムやルールありました。現在、日本企業にもグローバル化の波は押し寄せていますが、その名残は未だに色濃く残っています。
まずは終身雇用です。経済成長にともなって不足してきた労働力を確保するために、多くの企業が高校や大学などの新規学卒者を一括採用する取り組みを行ってきました。そうした就業経験のない若者を企業内で社員教育を行い、会社を担う人材として育て、最初に入社した企業内で定年まで勤め上げてもらうというシステムです。
次に年功賃金です。終身雇用にも関連しますが、当然社会経験のない新規学卒者は実力や経験がないため賃金は低く抑えられていました。すなわち、日本企業は労働者に対して、経験や年齢に応じて仕事もできるようになるという考え方をとり、就業年数に応じて賃金を上昇させていくという形をとっていたのです。
もう一つは企業別組合です。現在、労働組合の組織率は20%を切っていますが、1960年代は40%近くありました。日本の労働組合は企業単位でその従業員によって組織されています。海外は職種別、たとえば自動車工場の従業員だったら、会社の規模などにかかわらず、自動車工場労働組合といったように職業ごとに結成されるのが主となります。
これらが現在も根付く日本的雇用慣行の特徴ですが、1990年代からの「失われた30年」ともよばれる長期不況により、企業は労働者の解雇、即戦力を求めて中途採用を増やす、仕事の出来によって賃金が決定される成果給の導入など、従来の雇用システムが変化しているという現状もあります。